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税務調査の歴史③-2
今回は、税務調査について数値面から切り込んで解説したいと存じます。
先ず以下の統計数値の推移をご覧ください。
①税務署員(国税庁定員数)及び税理士登録人員の推移
昭和24年 国税庁発足年 国税庁定員60,495人 税理士10,888人 計71,383人
昭和40年 大阪局料調発作年 同 51,151人 同 15,827人 計66,978人
昭和50年 大阪局ADP導入開始 同 52,440人 同 32,436人 計84,876人
平 2年 消費税導入直後 同 55,029人 同 57,073人 計112,102人
平成7年 KSK導入開始 同 56,961人 同 62,550人 計119,511人
平成12 綜合調査開始 同 56,916人 同 65,144人 計122,060人
平成17 etax導入直後 同 56,185人 同 69,243人 計125,428人
平成23年 国税通則法改正 同 56,165人 同 72,635人 計128,800人
平成28年 マイナンバー開始 同 55,666人 同 76,493人 計132,159人
②国税庁予算及び内人件費の推移
平成2年 国税庁予算 5,180億円 内人件費 4,249億円
平成23年 同 7,185億円 同 5,850億円
平成28年 同 7,034億円 同 5,643億円
平成30年 同 6,945億円 同 5,476億円
③追徴税総額(含む加算税)の推移
平成18年 6税追徴総額 8,197億円
平成28年 同 4,927億円
④調査効率 6税追徴総額-国税庁の予算額=調査効率
平成18年 8,197億円-7,244億円= 953億円 ➡ 黒字
平成28年 4,927億円-7,034億円=△2,107億円 ➡ 赤字
注:③の6税とは、法人税、法人消費税、源泉所得税、申告所得税、個人消費税、相続税の6税。
数値から読み取れる事実とし、④の調査の効率です。平18年は黒字であったのに、10年後の平28年は、大幅な赤字
となっています。税務調査の効率は黒字か赤字だけで判断すべきでないとしても、何故こうも10年間で大きく後退した
のかです。次に国税庁定員と我々税理士数の推移ですが、税理士数は微増、国税庁定員はほぼ同数です。
経済情勢が変わったのではないかですが、以下に法人に関する統計を見ますと
⑤法人数、申告所得総額、申告法人税総額、黒字申告件数、黒字割合の推移は
平17年 法人数2,977千社 申告所得総額50兆3974億円 申告税額12兆5969億円 黒字申告883千社 黒字割合31.9%
平18年 法人数3,005千社 申告所得総額57兆828億円 申告税額14兆4578億円 黒字申告903千社 黒字割合32.94%
平27年 法人数3,048千社 申告所得総額61兆5361億円 申告税額11兆3844億円 黒字申告907千社 黒字割合32.1%
平28年 法人数3,079千社 申告所得総額63兆4749億円 申告税額11兆2372億円 黒字申告950千社 黒字割合33.2%
であり、大きな変動推移はないものです。ただ、法人税率が低下したことに伴って、申告税額は、平18年と平28年で
約78%と低下していることは事実です。