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誰も書かない税務調査の歴史①
今、税務調査は大きな変革期の最中にある。私はそう確信しています。氾濫するネット上の情報は極めて無責任と言わねばなりません。税務調査対策や解説が溢れかえっていますが、大半は眉唾の類です。特に私が指摘したいのは、元税務調査官とか税務調査に強い税理士とか、所謂「暴露話」が如何に横行しているかです。今回は、税務調査がどう発展して来たのか、歴史を確認してみたいと思います。その理由は、過渡期の今、今後の税務調査がどう動いていくのか、この未来予測をするためです。未来予測、将来について想像しようとすれば、皆さんはどう考えますか?。未来が予測可能であればバラ色ですね。バブル経済の時代を査察官として生きた私は、当時の企業経営者の大半はバブルだと認知できず土地やゴルフ会員権、株式に投資し、結果、破綻した方を沢山見てきました。しかし、当時これを見越した方は皆無だった訳です。それ程に先の見通しは困難であります。現在を生きる私達が過去を見て、これを論調するのは簡単です。しかし、明日以降を予測するのは本当に至難です。前置きが長くなって恐縮です。何故過去を振り返るかです。
過去をつまり歴史を丹念に振り返れば、未来が見えてくるからです。何故って?。歴史は繰り返すからです。過去の出来事が未来に起きる事は、万事において証明されています。未曾有の大震災でありました東北大震災も1000年前に同規模の地震がありました。
さて税務調査の歴史です。シャープ勧告によって戦後の税務は構築されました。マルサもその一環です。当時は闇経済下、申告納税制度など全く新しい出来事でした。よって税務調査は峻烈であったのです。税務調査自体、戦前と全く次元が異なった訳です。昭和30年代、40年代、経済復興、高度成長、反税団体の登場等の時代背景。税務行政は税務調査を中心に発展してきた訳です。
業種管理、質的管理体制、銀行等反面調査の充実、資料調査課の創設、査察の一罰百戒効果の追及、業種指導、税務調査体系が構築された訳です。税理士制度も戦後スタートです。私が奉職しました昭和50年代、まだまだ金融機関は仮名預金を沢山抱えていました。無記名債券もありました。消費税はまだまだ先の話です。土地重課制度がありました。税務調査は、署の一般調査、特別調査、国税局資料調査課調査、査察調査、こうした調査体系が完備された訳です。
国税庁の定員は現在55,666人ピークは平9年の57,202人、ちなみに芝が奉職し税務署勤務した昭和50年は52,440人でした。税理士の推移ですが、昭和50年は32,436人、平成12年が69,243人、平28年は76,493人となっています。次回は、税務調査の体制がどの様に構築され現在に至っているのかを具体的に解説させて頂きます。